私は、46年前に東大理科一類を受けました。
数学が1題半しか解けなくて、古文もさっぱりで見事に撃沈。
46年間の時の流れのなかで、教育改革や制度変更が様々行われてきました。
入試制度も当時は、一般入試が当たり前でしたが、今は、推薦入試やAO入試が、主流になりつつあります。
私が受験生の頃は、同年代で10人に1人が4年制の大学に進学したように記憶していますが、今は、2人に1人以上の割合で4年制の大学に進学しています。
名門公立高校の群制度による没落と私立中高一貫校の躍進、そして東京、大阪での中学受験熱のヒートアップ。
そんな激動の受験界にあって、東大入試制度や実質的な中身はほとんど変わっていないのは、驚きです。
東大一次試験は、そのまま共通テストに変わりました。しかし、二次試験の科目別の点数は、変化ありません。
文系、数学80点、国語120点、英語120点、社会120点。計440点。
理系 数学120点、国語80点、英語120点、理科120点。計440点。
入試問題の内容も大きく変わったのは、英語。
リスニングや自由英作文が入り、単独の文法問題がなくなりました。
数学は、46年前と数学的な難しさ、質の高さは変わりません。他大学の過去問がそのまま出ることは皆無で、試行錯誤の結果、解法を見つけていくスタイルは、変わりません。
計算力や式の変形等も通り一遍の知識では歯が立たないのは、昔も今も変わりません。
国語、日本史を見ても、ほとんど当時と変わりません。単純な知識量だけでは、無理で、常に頭がの良さ、地頭の良さが問われています。
今も昔も素の地頭の良さを基準に選別するというポリシーは、貫かれているように思いました。
海外の大学では、ベーパーテスト以外に部活、ボランティア、様々な体験、高校の内申等多角的な基準があるようにみえますが、結局は、裕福な家庭に育ち、常識のある人しか勝ち残りません。多様を求めているようでいて、至極、同質性の集まりになっています。
東大入試は、これだけ、教育制度が変わっても、46年前とほとんど変わらないのは、奇跡です。
私は、これを良い方に解釈したいです。
試験さえ通れば、入学できる事実が、東大の学生の多様性を担保しています。
内申の取れない生徒も不登校の生徒も僻地出身の生徒も試験に通りさえすれば、東大生になれるのです。
この東大の入試制度が、46年前と変わらないことは素晴らしいことですし、こらからも日本の多様な人材育成のために、変えてはいけない制度だと確信をもっています。
東大教養学部の文化祭「駒場祭」は、日本一の活力と多様性と未来への可能性を感じる祭ですが、その原因は、東大入試の質の高い伝統的な制度にありそうです。
完全個人指導塾 OEC 下垣 明
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